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単独行でやった山で失敗山行(頂上を踏めなかった山行)の山は過去数座しかない。思い出してみると、丹沢鍋割山、丹沢檜洞丸(、山梨百の本社ケ丸、同じく雨乞岳、関東百の上州朝日岳ぐらいだろうか。勿論、いずれの山もその後には完登はしているのだが。 その理由は、初心者であったが故のルートミスを犯してしまった鍋割山を除けば、全てバテにつきる。檜洞は真夏にユーシンからの難場の多いハードなルートを登ったためだ。本社ケ丸と雨乞は真冬の大雪の後でラッセルに難渋し、体力的にも時間的にも不足のためだった。上州朝日では木綿の下着にカッパスタイルで、取り付き点のミスと急登の登りで大汗をかき、完全に消耗してダウンしてしまった。 今回はどうだろう。体力的にも時間的にも十分余裕のある状況であった。 勿論、気力も充実していた。その意味では前の例とは完全に異なっている状況の中での失敗山行例である。単独行では初めてのケースと言ってもいいかも知れない。 確かにこの時期の山、残雪期の山は、一番登るのが難しい。雪で一面が覆われている雪山はまだ始末がいい。極端なことを言えば、どこを歩いても構わないからだ。しかし、上州笠ケ岳の場合がそうだった様に、残雪の山は、夏道が見えたり残雪に隠れたり・・・。残雪上も夏道につながる様に歩かないと藪こぎに突入し、ルートロストして難渋し、挙句の果ては遭難、なんてことにもなりかねない。 そもそも今回、リタイヤーせざるを得なかった第一の理由は、残雪の多さとそれに対する準備がなく、天候の悪化も予測されて高いリスクを予見したことにある。そしてそんな状況の中でも「大丈夫登れるよ・・」という自分がまだ そこにいる。引き止める自分と、行け行けという自分との葛藤・・・。揺れる心を第3者的に観る自分・・・・。その第3者的な自分は、こうゆう精神状態は危険信号だぞとも言っている。そして嫌な予感(直観とでも言おうか)も感じている。 ということで、とにかく今回は、過去の失敗山行ではなかった様な貴重な体験をした失敗山行であった。そしてまたひとつ強烈なインパクトの山(忘れ得ぬ山)が吾の記憶の中に刻まれてしまった。 (以東岳 失敗山行記録から抜粋)08.5.27) |
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